わたしとお兄ちゃんは、ピンと背筋を伸ばしてテントの中に正座していた。
二人とも、すごく緊張している。
今日はお兄ちゃんと結婚した初めての夜で、それはつまり新婚初夜という事だった。新婚初夜っていうのは、つまり、そういう事で…。あらためて意識すると、冷静ではいられなかった。
実は、あのエルクゥの亡霊達に操られて結ばれた日以来、わたしとお兄ちゃんはそういう事を一回もしていなかった。
多分お兄ちゃんは、無理矢理わたしに手を出してしまった事を後悔しているんだと思う。わたしがあの事で傷ついているんじゃないかと気を遣っくれているらしかった。
でも、わたしだって年頃の女の子なわけで、そういうえっちな事に興味が無いわけじゃなかった。お兄ちゃんとはじめてえっちな事をした時は、すごく気持ちよくなって、とても幸せで、いつまでもああしていたかったくらいだし、またその内、お兄ちゃんとならそんな事をしたいなと思っていた。
そして、今日から二人は夫婦なんだから。
「ふつつか者ですがよろしくお願いします」
「こ、こちらこそ至らない男ですが」
三ッ指をついたわたしに連られて、お兄ちゃんも思わず三ッ指をつく。
「なんだか、ちょっと緊張するね、耕一さん」
「こっ、耕一さんん!?」
「夫婦なのにお兄ちゃんじゃ変かと思って…」
「う、うーむ」
「いや?」
「たしかに人前ではその方がいいんだろうけど、二人だけの時は、できれば今まで通りの方がいいなぁ…」
「じゃあそうする。ほんとはわたしも、ちょっと堅苦しいかなって思った」
空気がほぐれる。
「耕一お兄ちゃん、わたし達、もう夫婦なんだよね」
「そうだね」
「その…初夜なんだよね」
「…そう…だね」
お兄ちゃんの心に濃い不安の影が見える。やっぱりあの時の事を気にしているんだろうか。
わたしはありったけの勇気を振り絞って、セーターの裾に手をかけた。
恥ずかしいけど、わたしの方から、大丈夫だっていう証拠を見せてあげなきゃいけない。
ブラウスのボタンを震える手でひとつひとつ外す。シャツを脱いで、ブラのホックに手をかけた。
はらり。
ブラを落とすと、ひんやりした空気が胸の先に触れた。
最近すこしはふくらんできたけど、わたしの胸は梓お姉ちゃんや千鶴お姉ちゃんに比べるとまだまだ小さい。ちくびもまだ未発達で、胸の先のぷっくりしたところに、ちっちゃな切れ目が入ってるだけにしか見えない。
お兄ちゃんはおずおずと手を伸ばすと、わたしの頬に触れた。お兄ちゃんの大きい手が、熱い。吐息がかかるくらいに顔を近付ける。お兄ちゃんのくちびるが、わたしのくちびるにそっと触れた。
お兄ちゃんの歯を舌でこじあけて、お兄ちゃんの舌とわたしの舌が触れた。ざらっとした、ちょっと苦い味がする。ふたりの舌が、そこだけ別の生き物みたいにからみ合う。お兄ちゃんの舌がうごめいて、今度はわたしの口の中に入ってきた。ぴちゃ、ぴちゃ、とふたりの唾液が音を立ててまじり合う。
なんだかすごくえっちだ。
わたしはお兄ちゃんの空いてる方の手を両手で握ると、ゆっくりと自分の胸へと導いた。ふにゃっ。お兄ちゃんの指がわたしの胸に浅く埋まる。
「ん…ふん…」
ぴちゃり…と音を立ててくちびるを離す。唾液が糸を引いて光った。
「どきどき…してるでしょ…お兄ちゃん…」
「…うん」
「これはね、お兄ちゃんの事が大好きだから。他の誰でもない、耕一お兄ちゃんが触れてるからこんなにどきどきするんだよ」
お兄ちゃんは両手でわたしの胸に触れ、ゆっくりと揉みしだき始めた。
「初音ちゃんのおっぱい、すこし大きくなったね」
「うん…身長だって…まだ、伸びてるんだ…よ…ふっ…んっ」
お兄ちゃんの指がわたしの小さなふくらみの上を這い回る。周囲から円を描くようにゆっくりと。揉むというよりは、さする感じで優しく優しく撫で回す。
ふにっ、ふにっ、ふにっ。
揉み抜かれる内に、わたしの胸は段々張りを増して、大きさもちょっと大きくなってきた。お兄ちゃんの手の動きも次第に遠慮がなくなってくる。
「ふんっ…くんっ、くうんっ」
お兄ちゃんの手がきゅっ、きゅっと力を込める度に、仔猫みたいな声をもらしてしまう。
きもちいい…よう。
胸の先がむずむずする。小指の先程のちいさなちくびが、いつの間にかぴょっこり顔を出していた。
お兄ちゃんが、いきなりわたしの胸にしゃぶりつく。
「ひゃぅっ!?」
慣れない刺激に背筋が震えた。
「ふぅっ…ふぅん、くんっ」
お兄ちゃんは、わたしの右の胸を舌で転がし、左の胸を片手で揉んでいる。
その姿は、なんだか懸命にお母さんの胸にむしゃぶりつく赤ちゃんみたいな感じもする。そう思うとなんだか可愛い。
――お兄ちゃんも気持ちよくしてあげたい。
わたしは半ば無意識にお兄ちゃんの股間に手を伸ばした。ズボンの上から手を触れる。
ふにゃ。
「あ、れ?」
堅くそそり立っているはずのその部分は、力無いふにゃりとした感触しか伝えてこなかった。
お兄ちゃんが慌てて、わたしを突き離し、視線を逸らす。
重苦しい沈黙が垂れ込めた。
「あの…」
「……ごめん。ちょっと…一人にしてくれると…ありがたい」
お兄ちゃんの口調には断固とした拒絶の意思がある。なんだかわからないけれど、わたしは触れてはいけないものに触れてしまったのだった。
「ご、ごめんなさい…」
わたしは上着を着込むと、なにがなんだかわからないまま、涙をこらえてテントを飛び出した。