「こ、れ、で、よしと」
「ありがとうございます、詩亞さま」
髪を軽く耡いてもらって、七海は着替えを終えた。ふわりとしたスカート、フリルの付いたカチューシャ、鏡に映る自分の姿は見慣れなく、なんだかどきどきする。
「さま付けは無し。詩亞でいい」
着替えを手伝っていた少女が肩を叩きながら七海の顔を覗き込む。短かく切り揃えた赤い髪に赤い肌。日本人では無い。七海よりは少し年上だろうか。
「はい、詩亞さま…さん」
「かしこまらない。みんなここじゃ姉妹みたいなもんなの」
「はい…」
七海の表情が綻ぶ。
昨夜はよく眠れなかった。自分が『メイド』となるのだという事は聞かされていた。だが、具体的な事は一切知らされてはいない。だから不安になる。
布団に潜り込んで涙を滲ませた七海を、同室の詩亞が慰めてくれた。
早く、ここでの生活に慣れなくてはいけないと思う。
「あ…のう、それじゃ」
「うん?」
「詩亞姉さま、って、呼んでもよろしいですか?」
顔を真赤にしながらそんな事を言った。
「私、一人っ子だったから、兄弟が欲しかったんです…けど…あの、御迷惑ですよね、すいません、忘れてください」
「…可愛いいなぁ、この娘は、もぅ」
詩亞はにまーっと相好を崩して七海の頭をくしゃくしゃと撫で回す。
「いいよ、私が七海ちゃんのお姉さんになってあげる」