「で、どこからどこまでが、アンタのさしがねなわけ」
夕月の執務室で二人きりになった時を見計い、詩亞はぶしつけに尋ねた。
「何が?」
表情を変えない夕月に、詩亞はふうん、と鼻を鳴らす。
「ミッキーってさ、実は結構かわいいとこあるのねー。あんなのが私のマスターになってくれたら、とぉっても楽しいだろうなぁぁ」
「駄目! 幹久様は私のです!」
思わず声を荒げた夕月の頬に、はっと朱が差す。詩亞はそれを見てく、くと笑いを噛み殺す。
「滅多に見れない夕月のそんな顔が見れたから、これであいこって事にしといたげる」
「早く仕事に戻りなさい、詩亞」
「へいへい」
と鷹揚に返事をし、詩亞は踵を返す。扉を潛り様、思い出したように、ありがとう、と呟いた
薄暗い室内にランプに照らされて一人きり。
夕月は優しく微笑んでいる。