「ほら、ちび」
みえないかべが、ない。
おひさまがまぶしい。
かぜがふいた。
くうきのにおいがちがう。
ざわり。
けあながいっぺんにひらいた。
「どした、おじけづいたか?」
まま。
ずっとみえないかべのむこうにみていただけのけしきがすごくはっきりといまそこにあってぼくのむねはざわざわする。
はじめてふれるこのかんじ。
でもぼくはしっている。
このからだがおぼえている。
こわい。
いってみたい。
しにそう。
がくがくする。
おひさまがまぶしい。
まま。
「別に…いきなり無理しないでもいいさ」
ままはゆっくりてをのばす。
……ぐるなぁおぅ。
あのおちんちんのむずむずするふしぎなこえがきこえた。
せつない。
『あゆさん、いらっしゃいますか?』
「お母様!? ちょ、ちょっとお待ち下さいませ」
もうとまらない。
がちゃり。
なにかがしまるおとがした。
くろいじめんのうえにあしをついた。
このかんしょくをしっている。
はじめてだけどしっている。
これは、つち。
みどり、みず、とり、むし、はな。
ぼくはこのけしきをしっている。
なんて、りある。
いちどだけうしろをみあげた。
ままがこまっている。
『どうかしましたか? あゆさん?』
『あ、はい、今行きますわ、お母様』
しっぽをぴんとたてる。
ぼくはだいじょうぶだよ。
いってきます、まま。