「タオルとミルクと…とりあえずこれでよろしかったでしょうか?」
「うん、ありがとう。助かった」
ここはぽかぽかしてふわふわしていいにおいがする。
きもちよくてぼくはすごくねむい。
「しかし…よろしいのですか、お嬢様?」
「責任は私が取るから」
「差し出がましい口を聞きますが…きちんとお母様にお話してお医者様に診ていただいた方がよろしかったのでは?」
「見つかったら、知らない内にこっそり保健所送りさ」
「そんな」
「あったんよ、そういう事が。子供だからわからないと思ったんだろうけど。舐めてるよね。あの人らは血統書つきにしか興味無いのよ」
しらないいきものがいる。
でもままのこえがするからこわくない。
ぼくはすごくねむい。
「だから、本当は拾いたく無かったんだけどね」
「お嬢様はお優しくておられますから」
「な、ななな、なんてこと言うかーっ!? た、ただこいつがあんまりしつこいから、だから」
「ええ」
「…なに、にこにこしてるさ」
「さあ、なんでしょう?」
「まあ、いいわ。とにかく! あんまりこいつが一生懸命なもんだからさ。無視できなかったのよ。思わず根負けしちゃったわけ」
ぼくはすごくねむい。
ねむいのにねれなくてへんだ。
なんかへんだ。
「だからこいつの根性に免じて、大きくなるまでは世話してやるわ」
「何かお困りになられましたら、遠慮なくお申しつけ下さい」
「悪いわね。いつも迷惑かけて」
「いえ、それが私のお役目ですから」
ねむいけどねれない。
なんでかかんがえてきがついた。
ぼくはすごくおなかがすいてる。
まま、まま。
おなかがすいたよ、まま。
「あら、目を覚まされたようですね」
「…うるさかったかな?」
「いえ、たぶん、こちらを御所望なのでは無いかと」
「…そっか……ほら、飲め」
いたい。
かたいのがほっぺにあたってる。
いたいままいたい。
「まだお皿からは飲めないのでは無いかと…」
「…え、どうしよ。どうすればいいの?」
「お嬢様、ちょっとお手を拝借」
「? なにすん…ひゃっ!? 冷たっ!?」
「さあ、そうしたらそちらへ」
いいにおいがする。
ままのおっぱいのにおい。
ちう。
「や、ひゃ、くすぐった、ひゃん!」
ちうちうちう。
まま、もっと。
「あとで哺乳瓶を用意いたします。お皿から直接飲めるようになるまではそれで飲ませて差しあげるといいですよ」
「ちょっ、待っ、メモする、からっ」
まま、もっと。もっと。
「あ、待つさ、もう、わ」
「後程その辺りをまとめたレポートを提出しますね」
「…悪いけど頼むわ」
ああ。
おなかいっぱい。
「あとは背中をさすってやって…」
「こ、こう?」
げっぷ。
ままはあたたかい。
ぼくはしあわせにねむくなる。
うつらうつらめをあける。
きんいろ。
ぼんやりとひろがったままはきんいろでふわふわ。
ままきれい。
「あ、目…開けた…」
ままがぼくのせなかをやさしくなでる。
そばにままがいる。
まぶたがおもたい。
ぼくはねむる。